琉球漆器の素材

琉球の漆器

ディゴの花・シタマキ

琉球の漆器で使う木材は沖縄県の県花である「デイゴ」や 「シタマキ(エゴノキ)」「センダン」と呼ばれる木材が多く使われております。
デイゴやシタマキ(エゴノキ)は、乾燥後木の収縮や亀裂などが少ないのが特徴で、木目仕上げの美しいセンダンなど、素材に恵まれた沖縄であるからこそ 漆器の文化が栄えたとも考えられます。
宮廷料理を出す器としても有名な東道盆(ツンダーボン)や喰籠などの大物には木自体が大きくしかも軽いのに、しっかりと乾燥させてもゆがみなどによる 変形の少ない「デイゴ」が最適で、「シタマキ」は椀類、茶托、菓子器などと作品に応じて使い分けられます。

 

東道盆(デイゴ)、東道盆、菓子器

近年では「バカス」と呼ばれるサトウキビから汁を絞ったカスを細かく粉砕し接着剤のようなものと混ぜ合わせ型にはめ込み圧力をかけることで整形したものを 素材として使うこともございますが、現在私ども角萬漆器では使用しておりません。

漆自体は、現在は日本で使用される量の約3%程度しか国内で採ることができないので、輸入に頼っています。
漆とはウルシの木の樹液のことで表皮に傷をつけるとそれを保護するために液体が出てきます。これを集めたものがウルシの原料となります。
ウルシの樹液が取れるようになるまでには植えてから10年以上たってからで、一本の木からは約200グラムしか採取することができず、これはお椀でいうと 10数個分にしかなりません。
下地で塗る素材には、沖縄ではウルシと「ニービ」と呼ばれる砂などを混ぜて使用していましたが、近年では合成素材を使うこともあります。

加飾に関してはそれぞれの加飾の方法によって使用するものが変わってきます。
沖縄の漆器の代表でもある「堆錦」という技法では、漆と顔料を合わせた堆錦餅と呼ばれるものを薄く延ばしてエア柄に合わせて切り取ったり切り抜いたりしたものを 貼り付けて絵付けをしていきます。

また古くから琉球漆器で使われている「螺鈿」では、以前は「夜光貝」という貝を削ったものを貼り付けて使われていましたが、これは希少で高価な材質となっているため、最近では鮑貝を利用することがほとんどとなっています。作品に応じて夜光貝を使用することもありますが、金額が 高くなってしまうので使用する頻度は低くなってきております。

「沈金」や「蒔絵」「高蒔絵」などでは金箔や金粉を使用して絵付けを行います。