漆器屋さんがカフェを始める理由

加速度的に変化していく現代。
大きな変化のなか人の営みには変わらない普遍的なことがある。
それは衣食住にかかわる文化そのものの普遍性だと思う。

世界的にみても器と食の関係は文化につながりお互い密接に関係している。
人が食べることをやめない限り、器はなくならない。

そう考えたとき器のつくり手として「食」を提供したい想いに駆られた。
器が主語のカフェがあったっていいはずだ。

そして器と食を提供することにより琉球漆器をつかう文化を復興させたい。
琉球王朝時代から琉球漆器はたくさんの人々につかわれてきたはずだから。
心の時代と呼ばれて久しいが、今だからこそ漆器をつかって欲しいと願わずにはいられない。

漆器のつくり手として気がついたことがある。
「漆器は先入観が強い」ということ。

高価、壊れやすい、傷がつきやすい、使いにくい、洗えない、などなど。
実は全くそんなことはない。

この先入観はおそらく漆器を使う経験をしたことがないのだろうか。
やはり器と食を通じて漆器を体験することが、
なによりも漆器のよさに気がつく近道だと感じる。

民藝運動の父、柳宗悦は『琉球の富』で首里の町並みの美しさを挙げている。
これに感化され幸いにも首里に新しい店舗を見つけることができ、
移転にあわせて念願のカフェを併設することができました。

器と食の沖縄らしい文化を醸成しながら、
先入観のない漆器のつかいかたを提案できるカフェにしたい。

こんな想いでカフェを運営していきますので、
皆様におかれましてはぜひ足をお運び頂ければと思います。